2017年6月 「聖霊に満たされて語る」 使徒言行録2章1〜14a節

 教会の祝祭日は、クリスマスとイースターとペンテコステです。クリスマスは、「キリストが人間の姿で降誕された!」と祝い、イースターは、「キリストが復活された!」と祝います。ペンテコステ(五旬祭)は、「キリストの体である教会が誕生した!」と祝う日です。
 五旬祭の日、弟子たちは、一つの家に集まっていました。突然、激しい風が吹いて来るような音が天からして、弟子たちが座っていた部屋中に響きました。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上に留まりました。
 聖霊を「炎のような舌」と表しています。聖霊は、目には見えません。イエス様が洗礼を受けられた時には、聖霊が天から「鳩のようにくだった」と記します。「炎のような舌」とは何を表すのでしょうか。
 「舌は禍の根」と言います。ヤコブの手紙3章5節からにも「舌は、小さな器官ですが、大言壮語するのです。どんなに小さな火でも、大きな森を燃やしてしまう。舌は火です。・・・」と。自分で制御する事ができない舌を持つ者たちに、聖霊が、炎のような舌として、一人一人に降ったのです。すると弟子たちは、聖霊に満たされて語り出しました。
 ユダヤ人たちは、地中海沿岸の各地に住んでいましたが、祭りの時には、大勢の人がエルサレムに帰っていました。大きな風の物音に、何事かと、人々が音のする方に集まりました。使徒たちが、故郷の言葉で話しているのを聞き、驚きました。
 当時、地中海沿岸はローマ帝国が支配し、公用語はギリシャ語でした。しかし、地方ごとにはそれぞれの言葉がありました。様々な言葉が入り混じる中で、自分たちの故郷の言葉で、使徒たちが話しているのを聞いて、あっけにとられました。それぞれに通じる言葉で、神の偉大な業が語られたのです。
 ペトロが声を張り上げて説教を始めた時、他の弟子達11人も共に立っています。イエス・キリストの十字架と復活の福音が語られます。人々が悔い改め、信じて洗礼を受けました。多くの人が仲間に加わり、教会が誕生しました。
 今年はプロテスタントの教会が誕生した宗教改革500年の年です。ルターが、聖書を自分の国の言葉・ドイツ語に翻訳したように、宗教改革者たちは、人々に通じる言葉を用いて、イエス・キリストの福音を告げ知らせました。

 今、ブリューゲルの「バベルの塔」展をしています。聖書のバベルの塔の記事が題材です。創世記11章には、人々が、天まで届く町を建てようとした。神がご覧になり、人々の言葉を混乱させた。互いの言葉を聞き分けられないようにされたので、人々は、町の建設をやめ、全地に散らされて行った。全地の言葉を混乱された・・バラルさせたので、この町はバベルと呼ばれた・・とあります。
 使徒言行録2章の、聖霊によって言葉が通じるようになった出来事と、創世記11章の、言葉が通じなくなったバベルの塔の話しが比べられます。相手の言葉が、通じないと混乱が生まれます。いくら話し合っても、通じ合わない状況が起ります。
 どんなに雄弁であっても、神の偉大な業を伝え、信じさせることはできません。聖霊の働きによるしかありません。聖霊によって、見ないで信じる者にさせられ、イエスを救い主と告白するようになるのです。聖霊は、鳩や炎や舌や風で譬えられます。聖霊は、力弱い者を、ある時は慰め、励まし、ある時は、驚くほど不思議な力を与えます。

 久喜復活伝道所が誕生して2年になります。ペンテコステ礼拝では、それぞれが赤いものを聖霊の徴として身に着けて集いました。窓を開け、隣りの公園の緑の木の枝を大きく揺らしている風を室内に入れながら礼拝しました。一同が一つになって集まっている時に、約束されていた聖霊が与えられたように、今も、教会に、一人一人に、聖霊が働いていて下さっていることを感謝します。






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